【特別対談】池内恵×岩瀬昇:中東「いまを知る」決定版(3)
岩瀬昇 1979年以前、果たして本当にサウジアラビア(以下、サウジ)は、開かれた寛容なイスラームだったのだろうか。そんなことは全然ないのではないか、と思います。イスラームの教えが生活そのものであるという中で何十年あるいは何百年と生きてきているわけですから、その人たちが昔より今のほうがより厳しくなっている、と感じることなど全然ないのではないか、という気がしています。
池内恵 1979年という年は、イラン革命だけではなく、メッカで発生したアル・ハラーム・モスク占拠事件によって、画期になっています。もともとサウジ社会全体に厳格な思想はあるわけですが、この事件で顕在化した保守的な勢力に対抗するために、サウド家の王政の側がさらに厳格な政策を競ったというところはあると思います。
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