岩瀬昇のエネルギー通信 (76)

生産者「ヘッジ率低下」需要者「ヘッジ強化」は「油価上昇」のサイン

トランプ大統領の発言自体は11月の中間選挙向けだが……(FTのHPより)

 

 OPEC(石油輸出国機構)とロシアを代表とする非OPEC産油国は本年6月の会合で、きわめて曖昧な形ながら実質100万BD(バレル/日量)の増産となるように、「7月1日以降、減産率を100%に戻す」と決定した(2018年6月22日「OPEC第174回総会コミュニケ」および6月23日「OPECと非OPECとの第4回合同大臣会議コミュニケ」参照)。

 11月以降、対イラン制裁の第2弾として、イラン原油輸出の全面停止を目指すドナルド・トランプ大統領からの、増産して原油価格の上昇を防げ、との強い要請に、米国に近いサウジアラビア(以下サウジ)などが歩み寄った決定だ。

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執筆者プロフィール
岩瀬昇(いわせのぼる) 1948年、埼玉県生まれ。エネルギーアナリスト。浦和高校、東京大学法学部卒業。71年三井物産入社、2002年三井石油開発に出向、10年常務執行役員、12年顧問。三井物産入社以来、香港、台北、2度のロンドン、ニューヨーク、テヘラン、バンコクの延べ21年間にわたる海外勤務を含め、一貫してエネルギー関連業務に従事。14年6月に三井石油開発退職後は、新興国・エネルギー関連の勉強会「金曜懇話会」代表世話人として、後進の育成、講演・執筆活動を続けている。著書に『石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか?  エネルギー情報学入門』(文春新書) 、『日本軍はなぜ満洲大油田を発見できなかったのか』 (同)、『原油暴落の謎を解く』(同)、最新刊に『超エネルギー地政学 アメリカ・ロシア・中東編』(エネルギーフォーラム)がある。
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