風が時間を
風が時間を(31)

まことの弱法師(31)

執筆者:徳岡孝夫 2018年10月20日
カテゴリ: 国際 社会 文化・歴史
エリア: 北米 日本

 偶然知り合った高校生と「この子には見所がある」と見抜いた祖母、幼稚園で同窓の仲だった女の子と彼との結婚、新制と旧制の切り替え時、以上の偶然が「太閤の町」大阪の市長を生んだ。その大阪で私の長男・洋介は無事誕生した。父からの母子とも健全の電報で知ったが私は留学の身、会いに行こうにも行けなかった。

 話を留学中のことに戻そう。感謝祭が終わり、クリスマスを控えてシラキュースは冬を迎えた。

 ただの冬ではない。豪雪の町である。五大湖の上を吹いて来た冬の風が町を包む。道を行く車の音が消え、変って融雪剤を踏む音がする。シラキュースは日本の札幌と並んで、豪雪の中に立つ世界でも数少ない都会だろう。

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執筆者プロフィール
徳岡孝夫 1930年大阪府生れ。京都大学文学部卒。毎日新聞社に入り、大阪本社社会部、サンデー毎日、英文毎日記者を務める。ベトナム戦争中には東南アジア特派員。1985年、学芸部編集委員を最後に退社、フリーに。主著に『五衰の人―三島由紀夫私記―』(第10回新潮学芸賞受賞)、『妻の肖像』『「民主主義」を疑え!』。訳書に、A・トフラー『第三の波』、D・キーン『日本文学史』など。86年に菊池寛賞受賞。
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