世界漫遊「食考学」の旅 (14)

【番外編】NHK『まんぷく』チキンラーメンは本当に「発明」なのか(下)

執筆者:野嶋剛 2019年2月1日
タグ: 台湾 日本
エリア: アジア
「長寿麺」の生みの親・張さんと安藤氏とで交わされた即席麺の特許譲渡契約書(筆者撮影、以下同)

 

『南極料理人』(2009年公開)という映画をみた。面白かったのは、南極の基地に派遣され、世間から隔絶された生活にストレスをためた越冬隊隊員たちが、思い悩んだ末に死ぬほど食べたくなった料理がラーメンだったことだ。おにぎりでも味噌汁でもない。

 隊員の1人が叫んだ。

「私の体はラーメンでできているんだ!」

 笑える反面、切羽詰まった気持ちもよくわかる。ラーメンの原点は中華料理だが、すでに日本で独自の進化を遂げて、国民食の地位を確立している。そのことがこの映画からは伝わってきた。

カテゴリ: 社会 カルチャー
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執筆者プロフィール
野嶋剛(のじまつよし) 1968年生れ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学中に香港中文大学に留学。92年朝日新聞社入社後、佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、シンガポール支局長や台北支局長として中国や台湾、アジア関連の報道に携わる。2016年4月からフリーに。著書に『イラク戦争従軍記』(朝日新聞社)、『ふたつの故宮博物院』(新潮選書)、『謎の名画・清明上河図』(勉誠出版)、『銀輪の巨人ジャイアント』(東洋経済新報社)、『ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち』(講談社)、『認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾』(明石書店)、『台湾とは何か』(ちくま新書)、『タイワニーズ 故郷喪失者の物語』(小学館)、『なぜ台湾は新型コロナウイルスを防げたのか』(扶桑社新書)など。訳書に『チャイニーズ・ライフ』(明石書店)。最新刊は『香港とは何か』(ちくま新書)。公式HPは https://nojimatsuyoshi.com
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