
若き日の藤原義江。撮影年は不詳、撮影者は、第2次世界大戦時、米日系人収容所で隠し持っていたレンズでカメラを作り、密かに収容所で暮らす日系人を撮影していたことで知られる写真家の宮武東洋(下関市の「藤原義江記念館」提供、以下同)
「義江さん、あなたお父さんに会いに行った?」
「行ったさ。でも留守だった」
門司芸者のつばめにこう聞かれて、すぐに嘘がでた。
つばめは義江の父親が門司の大里というこんなにも近くに住んでいるのに父子が会わないのはおかしい、今すぐにでも会いに行けと義江にうながす。

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