九月九日。民主党代表の小沢一郎氏は党本部の代表室に、党都連会長の円より子氏を呼びつけた。「東京は厳しい。今のままでは二つか三つしか取れない」 小沢氏の手には、届いたばかりの衆院選情勢調査結果が握られていた。党公認候補を決めるために党が独自で行なっていたものだ。 民主党は、二〇〇五年の衆院選では“小泉劇場”のあおりを受け、二十五選挙区ある東京で一勝二十四敗に終わった。次の衆院選も「二、三勝しかできない」ことになれば、三年前の悪夢の再来になりかねない。 八月末まで、民主党は自信に満ちていた。福田内閣の支持率は二〇%台で低迷。民主党の支持率は自民党を上回り、多くの議員は政権交代を確信していた。

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