
若き日の藤原義江。撮影年不詳だが、撮影者は第2次世界大戦時、米日系人収容所で隠し持っていたレンズでカメラを作り、密かに収容所で暮らす日系人を撮影していたことで知られる写真家の宮武東洋(下関市「藤原義江記念館」提供、以下同)
ロンドンの晩秋はもう真冬並みの寒さだ。
時計台や宮殿の屋根にまでかかるような、低く厚く暗い雲が憂鬱にさせる。
仕事がほとんど入らない義江は、発声練習のかたわら、ハイドパークなどに出かけて鳩に豆などをあたえて過ごしていた。
ロンドンの日本人社会は大変狭いコミュニティだ。

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