世界漫遊「食考学」の旅 (19)

【アモイと金門】カキオムレツと鄭成功の謎

執筆者:野嶋剛 2019年5月24日
タグ: 中国 台湾 日本
エリア: アジア
「これぞカキオムレツ」という小金門のカキオムレツ(筆者提供、以下同)

 

 死ぬ前に食べたいものを3つ挙げよと言われたら、その1つに入る食材がカキである。カキは焼いてよし、生でよし、揚げてよし、という大変、料理のしがいのある食材だが、私が1番好きなのは実は油で炒めたカキの料理だ。熱を加えて倍加したカキの旨味。カキフライほどは油っこくもない。日本であまり食べられる店がないので、中華圏に行くとカキ炒めをつい注文してしまう。

 そのカキ炒めの発展形と言ってもいい料理が、台湾の「蚵仔煎(オアジエン)」である。この料理の日本語訳は、すでに「カキオムレツ」が定着している。しかし、私の感覚では、オムレツではなく、お好み焼きに近い。この料理は、炒めたカキにサツマイモ粉(片栗粉でも代用可)を絡めて、卵でコーティングする。腹持ちもよく、大人から子供にまで好かれる料理だ。

カテゴリ: 政治 カルチャー
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執筆者プロフィール
野嶋剛(のじまつよし) 1968年生れ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学中に香港中文大学に留学。92年朝日新聞社入社後、佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、シンガポール支局長や台北支局長として中国や台湾、アジア関連の報道に携わる。2016年4月からフリーに。著書に『イラク戦争従軍記』(朝日新聞社)、『ふたつの故宮博物院』(新潮選書)、『謎の名画・清明上河図』(勉誠出版)、『銀輪の巨人ジャイアント』(東洋経済新報社)、『ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち』(講談社)、『認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾』(明石書店)、『台湾とは何か』(ちくま新書)、『タイワニーズ 故郷喪失者の物語』(小学館)、『なぜ台湾は新型コロナウイルスを防げたのか』(扶桑社新書)など。訳書に『チャイニーズ・ライフ』(明石書店)。最新刊は『香港とは何か』(ちくま新書)。公式HPは https://nojimatsuyoshi.com
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