新・マネーの魔術史:未来篇 (15)

「プライバシーが守られる通貨」に惹かれた人々

執筆者:野口悠紀雄 2019年12月26日
エリア: 北米

 いまから10年前、ビットコインのアイディアに何人かの人々が惹かれ、彼らの献身的努力で徐々に成長した。ピザを買うことにも成功した。現在の価格では、1枚77億円になる。

これはわずか10年前のこと

 ビットコインが誕生したのは2009年のことだ。まだ10年少し前のことでしかないのが、信じられない。

 この間に、何と多くが起こったことか。いまさらながらに驚く。ビットコイン誕生から何百年も経ってしまったような気がする。

 いま、中国という巨大な国家の中央銀行によって、デジタル通貨が発行されようとしている。それは、あらゆる取引をくまなく詳細に記録してしまう仕組みだ。国民は完全に管理される。 最初の開発者たちが夢見たのとは、正反対のことが生じようとしている。

フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
野口悠紀雄(のぐちゆきお) 1940年東京生まれ。東京大学工学部卒業後、大蔵省入省。1972年エール大学Ph.D.(経済学博士号)取得。一橋大学教授、東京大学教授などを経て、現在、早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論。1992年に『バブルの経済学』(日本経済新聞社)で吉野作造賞。ミリオンセラーとなった『「超」整理法』(中公新書)ほか『戦後日本経済史』(新潮社)、『数字は武器になる』(同)、『ブロックチェーン革命』(日本経済新聞社)、『マネーの魔術史』(新潮選書)、『AI時代の「超」発想法』(PHPビジネス新書)など著書多数。公式ホームページ『野口悠紀雄Online』【http://www.noguchi.co.jp
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top