「新型コロナウイルス」拡散で考えさせられる中国「経済成長」の歪み

執筆者:樋泉克夫 2020年1月28日
エリア: アジア
ウイルスが見つかった武漢の市場(C)AFP=時事
 

 2020年の春節を前にして、中国湖北省の省都・武漢市で発生した新型コロナウイルスは、中国国内はもちろん、世界各地に拡散し猛威を振るっている。

 中国政府は武漢市の閉鎖からはじまり、ついには海外への団体旅行禁止措置を実施するに至りはしたが、初期対応の遅れが響いている。習近平政権が春節休暇を返上して本腰を入れ動き出したようだが、効果的な対応策は依然として見つかってはいないと見るべきだろう。

 全容が掴めないほどまでに被害が拡大した原因については、中国人のたくましすぎる食文化、衛生面の不整備、共産党政権の隠ぺい体質などが挙げられる。新型コロナウイルスが世界的な嫌中ムード拡大のキッカケとなり、このままでは「中華民族の偉大な復興」も頓挫しかねないだけに、習近平政権としては早急に抜本的な対策を講ずる必要があるはずだ。

カテゴリ: 経済・ビジネス 社会
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執筆者プロフィール
樋泉克夫(ひいずみかつお) 愛知県立大学名誉教授。1947年生れ。香港中文大学新亜研究所、中央大学大学院博士課程を経て、外務省専門調査員として在タイ日本大使館勤務(83―85年、88―92年)。98年から愛知県立大学教授を務め、2011年から2017年4月まで愛知大学教授。『「死体」が語る中国文化』(新潮選書)のほか、華僑・華人論、京劇史に関する著書・論文多数。
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