新・マネーの魔術史:未来篇 (27)

中央銀行デジタル通貨とプライバシーの問題

執筆者:野口悠紀雄 2020年3月26日
エリア: その他
リブラ公式HPより
 

 中央銀行がデジタル通貨を発行すると、いくつかの大きな問題が起きる。

 前回までは、銀行システムに与える影響と、マネーストックを完全にコントロールすることの意味を述べた。もう1つ大きいのは、プライバシーの問題だ。

カウンターパーティ匿名性とサードパーティ匿名性

 国際決済銀行(BIS)は、中央銀行が発行する仮想通貨の問題を、2017年9月に発表した四半期報告で取り上げた。

 ここで、匿名性の問題が検討されている。

 まず、プライバシー問題は、カウンターパーティ匿名性(取引相手の匿名性)とサードパーティ匿名性(第三者への匿名性)に分けて考える必要があることが指摘される。

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執筆者プロフィール
野口悠紀雄(のぐちゆきお) 1940年東京生まれ。東京大学工学部卒業後、大蔵省入省。1972年エール大学Ph.D.(経済学博士号)取得。一橋大学教授、東京大学教授などを経て、現在、早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論。1992年に『バブルの経済学』(日本経済新聞社)で吉野作造賞。ミリオンセラーとなった『「超」整理法』(中公新書)ほか『戦後日本経済史』(新潮社)、『数字は武器になる』(同)、『ブロックチェーン革命』(日本経済新聞社)、『マネーの魔術史』(新潮選書)、『AI時代の「超」発想法』(PHPビジネス新書)など著書多数。公式ホームページ『野口悠紀雄Online』【http://www.noguchi.co.jp
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