新・マネーの魔術史:未来篇 (47)

対コロナ施策でマネーが増え続けているが物価は上がらない

執筆者:野口悠紀雄 2020年8月20日
タグ: 日本
エリア: アジア
リブラ公式HPより

 

 新型コロナウイルス対策で日本の財政金融は大きな影響を受けている。法人の支払い準備のための預金増のほか、特別定額給付金を個人が預金したことの影響も無視できない。しかし、消費者物価はほぼ横ばいだ。財政支出が大幅に増えており、主として短期国債で賄われている。

マネーストックの増加率が過去最大

 日銀が8月12日発表した7月のマネーストック速報によると、M3(現金、銀行などの預金)の残高は、1452.7兆円だった。前年同月比伸び率は、6.5%だった。残高も伸び率も、統計が始まって以来の最大の値を記録した。

カテゴリ: 経済・ビジネス 社会
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執筆者プロフィール
野口悠紀雄(のぐちゆきお) 1940年東京生まれ。東京大学工学部卒業後、大蔵省入省。1972年エール大学Ph.D.(経済学博士号)取得。一橋大学教授、東京大学教授などを経て、現在、早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論。1992年に『バブルの経済学』(日本経済新聞社)で吉野作造賞。ミリオンセラーとなった『「超」整理法』(中公新書)ほか『戦後日本経済史』(新潮社)、『数字は武器になる』(同)、『ブロックチェーン革命』(日本経済新聞社)、『マネーの魔術史』(新潮選書)、『AI時代の「超」発想法』(PHPビジネス新書)など著書多数。公式ホームページ『野口悠紀雄Online』【http://www.noguchi.co.jp
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