医療崩壊 (43)

「任命拒否」で揺れる「日本学術会議」の存在意義

執筆者:上昌広 2020年11月9日
タグ: 菅義偉 日本
エリア: アジア
10月23日、日本学術会議の梶田隆章会長(中央)らと会談する井上信治科学技術担当相(右)(C)時事

 

 日本学術会議が世間の注目を集めている。現在召集されている臨時国会でも、菅義偉首相が任命拒否問題で野党から追及を受けている。

 本稿では、同問題の背景について、私なりの分析をご紹介したい。

占領体制の「申し子」

 まずは、日本学術会議の概要だ。

 同会議は、日本に87万人いるとされる研究者の最高組織で、定員210人の会員と約2000人の連携会員から構成される。現在の会長は、2015年にニュートリノが質量をもつことを示すニュートリノ振動の発見でノーベル物理学賞を受賞した梶田隆章・東京大学卓越教授だ。

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執筆者プロフィール
上昌広(かみまさひろ) 特定非営利活動法人「医療ガバナンス研究所」理事長。 1968年生まれ、兵庫県出身。東京大学医学部医学科を卒業し、同大学大学院医学系研究科修了。東京都立駒込病院血液内科医員、虎の門病院血液科医員、国立がんセンター中央病院薬物療法部医員として造血器悪性腫瘍の臨床研究に従事し、2016年3月まで東京大学医科学研究所特任教授を務める。内科医(専門は血液・腫瘍内科学)。2005年10月より東京大学医科学研究所先端医療社会コミュニケーションシステムを主宰し、医療ガバナンスを研究している。医療関係者など約5万人が購読するメールマガジン「MRIC(医療ガバナンス学会)」の編集長も務め、積極的な情報発信を行っている。『復興は現場から動き出す 』(東洋経済新報社)、『日本の医療 崩壊を招いた構造と再生への提言 』(蕗書房 )、『日本の医療格差は9倍 医師不足の真実』(光文社新書)、『医療詐欺 「先端医療」と「新薬」は、まず疑うのが正しい』(講談社+α新書)、『病院は東京から破綻する 医師が「ゼロ」になる日 』(朝日新聞出版)など著書多数。
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