習近平政権「経済安全保障体制」のキーストーンとなる“新BRIKs”

【特別企画】激動経済:「米中産業冷戦」の時代 (第2回)

ブラジルから中国に輸入された大豆飼料。食肉需要の増加に伴い、飼料も食糧安保の脆弱性となっている ©AFP=時事
食糧のブラジル、エネルギーのロシアとイラン、欧州向け輸出のハブとなったカザフスタン、そして半導体技術の獲得先は……。“新BRIKs”から浮かび上がる産業冷戦構造の地殻変動。

 米バイデン政権は予想以上のスピードで対中包囲網の構築を進めた。半導体はじめ最先端技術と製造設備に関して、中国は調達ルートの多くを断たれ、半導体調達は中国の最大の脆弱性になった。一方で習近平政権が着々と体制を整えつつあるのが資源・食糧・エネルギーの旧来型の経済安全保障とユーラシア大陸における物流体系である。その基盤となっているのがブラジル、ロシア、イラン、カザフスタンであり、頭文字を並べれば”BRIKs”。かつて、世界経済の牽引車となった新興国の「BRICS」は米中冷戦で分断されたが、中国はBRICSのメンバーを一部入れ替えた「新BRIKs」によって、米国に対抗しようとしている。それは経済のみならず、軍事的にも米国に対抗する枢軸に発展する可能性を秘めている。

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カテゴリ: 政治 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
後藤康浩(ごとうやすひろ) 亜細亜大学都市創造学部教授、元日本経済新聞論説委員・編集委員。 1958年福岡県生まれ。早稲田大政経学部卒、豪ボンド大MBA修了。1984年日経新聞入社。社会部、国際部、バーレーン支局、欧州総局(ロンドン)駐在、東京本社産業部、中国総局(北京)駐在などを経て、産業部編集委員、論説委員、アジア部長、編集委員などを歴任。2016年4月から現職。産業政策、モノづくり、アジア経済、資源エネルギー問題などを専門とし、大学で教鞭を執る傍ら、テレビ東京系列『未来世紀ジパング』などにも出演していた。現在も幅広いメディアで講演や執筆活動を行うほか、企業の社外取締役なども務めている。著書に『アジア都市の成長戦略』(2018年度「岡倉天心記念賞」受賞/慶應義塾大学出版会)、『ネクスト・アジア』(日本経済新聞出版)、『資源・食糧・エネルギーが変える世界』(日本経済新聞出版)、『アジア力』(日本経済新聞出版)、『強い工場』(日経BP)、『勝つ工場』(日本経済新聞出版)などがある。
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