北朝鮮「核実験」2つのファクター:「アメリカ帝国主義」と「中ロ反帝共闘」

執筆者:中戸祐夫 2022年7月29日
タグ: 北朝鮮 金正恩
エリア: アジア
朝鮮戦争休戦協定締結から69年の記念式典で演説する金正恩党総書記(7月27日=平壌)(C) EPA=時事
 
「準備完了」と言われる北朝鮮の核実験が未だ行われていないのはなぜなのか。ロシア・ウクライナ戦争で金正恩委員長が再確認した「アメリカ帝国主義」という対米認識と、俄かに重要性が高まる中国、ロシアとの「反帝共闘」という2つのファクターから読み解く。

 ロシア・ウクライナ戦争の勃発は朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)の外交安保政策にどのような影響を与えたのであろうか。核兵器を含む圧倒的な軍事力を有するロシアの前に、核兵器を持たないウクライナの脆弱性が露呈したことで、北朝鮮が自国の安全保障のために核兵器は不可欠だと再認識したとの見方は妥当なものであろう。

 しかしながら、ロシア・ウクライナ戦争から北朝鮮が再確認したのはむしろ、「アメリカ帝国主義」の「変わらない本質」であり、核兵器の重要性もこうした文脈で理解されている点に留意する必要があろう。

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カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
中戸祐夫(なかとさちお) 立命館大学国際関係学部教授。博士(国際関係学、立命館大学)。1967年生まれ。ニューヨーク州立大学オネオンタ校教養学部卒業。立命館大学大学院国際関係研究科博士課程修了。主な著書に『北朝鮮研究の新地平――理論的地域研究の模索』(編著・晃洋書房・2022年)、『日米通商摩擦の政治経済学』(ミネルヴァ書房・2003年)がある。
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