イスラエルに学ぶスタートアップエコシステム:「One Story」の強み

執筆者:加藤清司 2022年9月18日
タグ: イスラエル
エリア: 中東
スタートアップがひしめくイスラエル(筆者提供)
 
岸田政権が打ち出すスタートアップ支援の強化には、国家も含めたステークホルダー全員が共有できる「1つのストーリー」が必要だ。そのストーリー作りに優れるイスラエルでは、年間800社創業され100以上イグジットが起こる激しい新陳代謝環境で、投資額の1.5〜2倍に上るイグジットが実現される。

 岸田文雄政権下でスタートアップ担当大臣が新設され、国内外の大学などと連携した国内のスタートアップ支援の強化が打ち出された。日本にもスタートアップのエコシステムをつくり上げようという方針だが、筆者は残念ながら盛り上がりに欠け、期待感が持てないと感じる。

 その理由を論じてみたい。

世界一のスタートアップ大国

 圧倒的なスピードで成長を遂げていくスタートアップであるが、スタートアップ自体は単独で成長していくことが極めて難しい。投資家、政府機関、士業支援、スタートアップと連携する大企業など、様々なプレーヤーが有機的に絡み合って、その成長を後押ししている。

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カテゴリ: 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
加藤清司(かとうせいじ) 株式会社イスラテック 代表取締役。静岡県浜松市出身。『スタートアップ大国イスラエルの秘密(洋泉社)』の著者。2006年、あるユニークな無線技術が琴線にふれ、その技術のルーツをたどりイスラエル に強い関心をもつ。百聞は一見に如かずで、すぐに人生初海外としてイスラエルに渡航し長期滞在する。帰国後、イスラテックを創業し、当時、日本語での情報がなかったイスラエルのテクノロジーに関する情報発信を開始する。企業や行政からの問い合わせに応じるため調査事業を始め、さまざまな技術分野での調査を積み重ね、2015年に株式会社化。提携支援や現地進出支援など業務の幅を広げ、これまでイスラエルとのビジネスを行う数十社の大手日本企業のサポートを行う。
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