「テンセント」の歴史が示す中国企業の野心と呪縛

Lulu Chen『Influence Empire』

執筆者:植田かもめ 2022年9月18日
エリア: アジア
 
テンセントのWeChatは単なるメッセージサービスではない。オンライン世界とオフライン世界のサービスを巧みに接続する万能アプリは、今や11億人以上のユーザーを抱え、同社を世界の5大企業にまで成長させた。だが、そこに蓄積されるデータを中国共産党は見逃さない。習近平の中国が迫る「踏み絵」の実相とは――。

 2017年、中国の深圳に本社を置くテンセント(騰訊控股有限公司)は時価総額でフェイスブックを上回り、世界の5大企業の仲間入りを果たした。2022年時点で11億人を超えるユーザーを抱えるサービスであるWeChatを提供する同社は、中国の巨大テクノロジー企業を代表する存在である。

 それでは、同社のCEOの名前と顔がすぐに思い浮かぶだろうか。同社の創業者であるポニー・マー(馬化騰)は、同じく中国巨大企業の代表であるアリババの創業者ジャック・マー(馬雲)に比べると、中国国外の人間にとっては謎めいた存在と言えるかもしれない。

この記事だけをYahoo!ニュースで読む>>
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
植田かもめ(うえだかもめ) 洋書を中心とした書評家。Webメディアや雑誌への寄稿を行う。フィクション、アート、ビジネス、テクノロジー、科学などジャンル問わずに未訳本を紹介するブログ「未翻訳ブックレビュー」を運営。本業は経営やITのコンサルタント。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top