習近平体制は国内の「締め付け」を通り越し、「恐怖による支配」の道を突き進んでいる。電子商取引(Eコマース)大手アリババの創業者、馬雲(ジャック・マー)氏へのバッシングに始まった民間プラットフォーマーへの集中攻撃によって、名だたるデジタル企業は制圧され、成長の力となる内部留保の大半を国家に捧げた。共産党への忠誠要求は息苦しいほどに強まり、幼稚園児に愛党が強制され、義務教育での塾は禁止となった。著名俳優が脱税容疑で表舞台からひきずり下ろされ、映像や歌曲には内容の制限がかかる。「坂の上の白い雲」を見つめて成長街道を疾走して来た中国人は今、頭上を覆う不気味な暗雲に首をすくめる。習総書記を陰鬱な統制国家への逆走に突き動かしているものは何か。個人の権力への執着よりも、国民が経済的、知的に充足すればするほど、共産党は不要になるという逆説の未来への不安と焦燥だろう。
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