コロナ禍を「最後のパンデミック」にするための、ドラマチックではないが重要な仕事

Bill Gates『How to Prevent The Next Pandemic』

執筆者:植田かもめ 2022年6月19日
 
2015年、すでにビル・ゲイツは来たるパンデミックに備える必要性をTEDで呼びかけていた。新興感染症の発生は防げずとも、世界的な感染爆発を防ぐことはできるはず。そのためには「パンデミックの監視と対策に専任する世界的な組織」の構築と投資が不可欠だとゲイツは訴える。

 ビル・ゲイツはCOVID-19が発生する以前からパンデミックに対する世界の備えに警鐘を鳴らしてきた。テクノロジー業界に身を置いていた彼が公衆衛生の分野に興味を持ったのは、毎年300万人もの子どもが不衛生な環境で下痢を原因として命を落としているという記事を1997年に読んだ時だったという。自らの慈善事業財団を通じて、ゲイツは公衆衛生や医療分野での投資を行ってきた。そして2014年頃にアフリカでのエボラ出血熱の流行に接し、新興ウイルスによる将来的なパンデミックの発生に危機感を抱く。問題は「システムが十分に機能していない」事ではなく、「そもそもシステムが存在していない」事だった。2015年にゲイツは「The next outbreak? We’re not ready(次の伝染病? 我々は準備できていない)」と題したスピーチをTEDで行った。動画は4300万回以上の再生を記録しているが、再生数の95%はCOVID-19発生後のものだという。

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カテゴリ: カルチャー
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執筆者プロフィール
植田かもめ(うえだかもめ) 洋書を中心とした書評家。Webメディアや雑誌への寄稿を行う。フィクション、アート、ビジネス、テクノロジー、科学などジャンル問わずに未訳本を紹介するブログ「未翻訳ブックレビュー」を運営。本業は経営やITのコンサルタント。
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