3人目“解禁”でも少子化加速の習近平「産めよ増せよ」:中国「女権」の実相

執筆者:中澤穣 2022年11月7日
タグ: 中国 習近平
エリア: アジア
「一人っ子政策」から「産めよ増やせよ」に転換したものの、その効果はいまだ上がっていない (C)EPA=時事
3期目を迎える習近平体制で、党の重要事項を決める中央委員205人のうち女性はわずか11人。ついに減少に転じた人口問題は経済発展にも影を落とすが、男性優位社会の“産ませる政策”は完全に行き詰まりを見せている。

 10月23日正午(中国時間)、北京の人民大会堂に設けられた壮麗な記者会見場に、そろってダークスーツに身を包んだ7人の男性が入ってきた。中国共産党の習近平総書記が率いる3期目の最高指導部=政治局常務委員だ。多様性という価値観に背を向けるように、年齢(60~69歳)、民族(漢民族)、性別(男)などの点でかなり同質といえる。

 政治分野からの女性排除は、習政権下でさらに顕著になった。中国では建国以来、労働力としての女性の活用が進んできたが、習政権下では政治分野にひっぱられるように社会全体での男女平等も後退した。少子化など「女性」という要素が大きい社会問題への対策はちぐはぐだ。男が支配する中国政治は急速な人口減少をもたらし、習氏の掲げる「中華民族の偉大な復興」の足を引っ張る可能性もある。

カテゴリ: 社会
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執筆者プロフィール
中澤穣(なかざわみのる) 1977年生まれ。東京新聞外報部デスク。早稲田大学政治経済学部卒、一橋大学言語社会研究科修了。東京新聞社会部(司法担当)や中国総局長などを経て現職。
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