脚光を浴びる米シンクタンク「戦争研究所」のキーパーソンと独自の立ち位置

執筆者:宮田智之 2022年12月4日
エリア: 北米
2020年3月、トランプ前大統領から「大統領自由勲章」を受ける、戦争研究所の現会長ジャック・キーン (c)EPA=時事
ロシア・ウクライナ戦争を分析する“基礎資料”、戦争研究所(ISW)のレポートが連日メディアに登場するが、同研究所そのものが表舞台に出ることは稀だろう。創設は有名なネオコン一族、幹部には軍の有力OBが名を連ねる一方で、研究員は若手中心に30人ほどであり組織の収入も多くはない。近年主流の「アドボカシー・タンク(唱導型のシンクタンク)」から敢えて距離を置くかのような戦争研究所には謎も多い。

 

 2月のロシア・ウクライナ戦争勃発以来、アメリカの戦争研究所(ISW)が発表する戦況レポートは、メディアで紹介されない日はないと言ってもよいほど、注目を集めている。しかし、奇妙なことに、その注目度の高さに反して戦争研究所それ自体の情報は乏しい。事実、アメリカのメディアでこのシンクタンクに焦点を当てたものは、2014年に国際政治学者のスティーブン・ウォルトが『フォーリン・ポリシー』誌上で発表したレポート [1]や、同時期に発表された『ネイション』誌のレポート[2] ぐらいであり、しかも前者は戦争研究所そのものを取り上げたものではない。「シンクタンク・ウォッチ」というアメリカのシンクタンク情報を定期的に更新しているサイトを見ても、戦争研究所についての情報はごくわずかである。このように情報が限られる中で、本稿では戦争研究所のホームページ掲載情報やその主な顔ぶれを手掛かりに、このシンクタンクについて考えてみたい。

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カテゴリ: 軍事・防衛 政治
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執筆者プロフィール
宮田智之 帝京大学法学部准教授。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程単位取得退学、2015年博士(法学)取得。在米日本大使館専門調査員、東京大学アメリカ太平洋地域研究センター助教、日本国際問題研究所研究員などを経て、現職。専門はアメリカ政治。主な著書に『アメリカ政治の地殻変動ー分極化の行方』(共著、東京大学出版会、2021年)、『トランプ政権の分析ー分極化と政策的収斂との間で』(共著、日本評論社、2021年)、『アメリカ政治とシンクタンク―政治運動としての政策研究機関』(東京大学出版会、2017年/第34回大平正芳記念賞受賞)など。
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