
2020年3月、トランプ前大統領から「大統領自由勲章」を受ける、戦争研究所の現会長ジャック・キーン (c)EPA=時事
2月のロシア・ウクライナ戦争勃発以来、アメリカの戦争研究所(ISW)が発表する戦況レポートは、メディアで紹介されない日はないと言ってもよいほど、注目を集めている。しかし、奇妙なことに、その注目度の高さに反して戦争研究所それ自体の情報は乏しい。事実、アメリカのメディアでこのシンクタンクに焦点を当てたものは、2014年に国際政治学者のスティーブン・ウォルトが『フォーリン・ポリシー』誌上で発表したレポート [1]や、同時期に発表された『ネイション』誌のレポート[2] ぐらいであり、しかも前者は戦争研究所そのものを取り上げたものではない。「シンクタンク・ウォッチ」というアメリカのシンクタンク情報を定期的に更新しているサイトを見ても、戦争研究所についての情報はごくわずかである。このように情報が限られる中で、本稿では戦争研究所のホームページ掲載情報やその主な顔ぶれを手掛かりに、このシンクタンクについて考えてみたい。

「フォーサイト」は、月額800円のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。
フォーサイト会員の方はここからログイン