教養としてのイギリス貴族入門 (5)

グレイ伯爵家

執筆者:君塚直隆 2023年2月4日
タグ: イギリス
エリア: ヨーロッパ
首相として数々の政治改革を実現した2代伯(左)。後代、グレイ伯爵家の分家からは、11年にわたって外相を務めたエドワード・グレイを輩出した
紅茶の名品「アールグレイ」の名前の由来とされるグレイ伯爵家は、第2代が首相に就任するなど、政治の世界で大きな足跡を残した名家である。その「高貴なるものの責務(ノブレス・オブリージュ)」への奉仕は分家にも引き継がれていった。『貴族とは何か』(新潮選書)刊行記念スピンオフ企画第5回。

「イギリス紅茶の代名詞」となった貴族

「アールグレイ」。いまやこの名前は、イギリス紅茶の代名詞のひとつとして日本にも深く定着している。読者の皆さんにも、ベルガモットを効かせたその独特の香りをお好みのかたがいるだろう。しかしこの名前がある貴族に由来することまではご存じない場合が多い。その貴族こそが、今回取り上げる「グレイ伯爵(Earl Grey)」なのである。

カテゴリ: カルチャー 社会
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執筆者プロフィール
君塚直隆(きみづかなおたか) 関東学院大学国際文化学部教授。1967年東京都生まれ。立教大学文学部史学科卒業。英国オックスフォード大学セント・アントニーズ・コレッジ留学。上智大学大学院文学研究科史学専攻博士後期課程修了。博士(史学)。東京大学客員助教授、神奈川県立外語短期大学教授などを経て、関東学院大学国際文化学部教授。専攻はイギリス政治外交史、ヨーロッパ国際政治史。著書に『立憲君主制の現在』(新潮選書/2018年サントリー学芸賞受賞)、『ヴィクトリア女王』(中公新書)、『エリザベス女王』(中公新書)、『物語 イギリスの歴史』(中公新書)、『ヨーロッパ近代史』(ちくま新書)、『悪党たちの大英帝国』(新潮選書)、『王室外交物語』(光文社新書)他多数。
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