
『ナショナル・アンド・イングリッシュ・レヴュー』(左)に寄稿した「今日の君主制」が物議を醸した、2代オルトリンガム男爵ジョン・グリッグ(“Peer Raises A Storm”『British Pathé』より)
1957年8月6日の夕方。『グラナダ・テレビ(現在のITV)』でのインタビューを終えて帰宅しようとする青年貴族の前に、いきなり老人が立ちはだかった。すると老人は青年の横っ面を張り倒したのだ。すぐに老人は近くにいた警察官に取り押さえられ、事態はそれ以上発展するようなことはなかった。男は64歳で極右団体「帝国愛国者連盟」のメンバー。そして彼に張り倒された青年は、オルトリンガム男爵(Baron Altrincham)ジョン・グリッグ(1924~2001)であった。なぜイギリスの貴族が右翼団体の老人から暴行を受けなければならなかったのか。

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