世界シェア四割「太陽電池」を支える下町の「慎重居士」

執筆者:安西巧 2009年6月号
タグ: アメリカ 日本

この不況下にもかかわらず今期も最高益更新を見込むメーカーが、東京・南千住にある。社長は、これまで二度の経営破綻を経験した。モットーは「会社を潰さないこと」。その経営哲学とは――。 挫折は人を大きくする、という。トヨタ自動車、ソニー、日立製作所――。日本を代表する大企業の社長が業績急落とともに次々と経営の第一線を去り、後継者たちが底知れぬ不況の底を怖々とのぞき込んでいる中で、「ものづくり大国」を地で行くメカトロニクス企業が東京の下町から彗星のごとく登場した。 太陽電池製造装置メーカーのエヌ・ピー・シー(NPC)。素子(セル)を繋ぎ合わせてソーラーパネルにする後工程製造装置で四割の世界シェアを握る。会社設立は十七年前。二〇〇七年に東証マザーズに上場した。今期(〇九年八月期連結)の売上高は前期比五五%増の百四十五億円、営業利益は同七〇%増の二十三億円と大幅な最高益更新を見込む。

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執筆者プロフィール
安西巧(あんざいたくみ) ジャーナリスト 1959年福岡県北九州市生まれ。1983年早稲田大学政治経済学部政治学科卒、日本経済新聞社入社。主に企業取材の第一線で記者活動。広島支局長、編集委員などを歴任し、2024年フリーに。フォーサイトでは「杜耕次」のペンネームでも執筆。著書に『経団連 落日の財界総本山』『広島はすごい』『マツダとカープ 松田ファミリーの100年史』(以上、新潮社)、『さらば国策産業 電力改革450日の迷走』『ソニー&松下 失われたDNA』『西武争奪 資産2兆円をめぐる攻防』『歴史に学ぶ プロ野球16球団拡大構想』(以上、日本経済新聞出版)など。
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