ロシア・ウクライナ戦争1年(下):西側戦車は戦局をいかに変えるか

執筆者:藤村純佳 2023年2月26日
エリア: ヨーロッパ
キーウを電撃訪問したバイデン大統領との会談に臨むゼレンスキー大統領(C)AFP=時事
 
ロシアに「数」で優位に立てないウクライナにとって切り札になるのが、欧米諸国が供与を決定した西側戦車だ。冷戦期にソ連に対する「質の優越」を目指して開発された西側戦車は、有効射程が長く、より早期かつ遠距離から敵を捕捉できる。ただ、戦局を動かすにはある程度まとまった数を集中的に使用する必要があるという。(前編はこちらからお読みいただけます)

 ウクライナが開戦時点で保有していた戦車は現役約1000輌、予備保管が新旧合わせておよそ1000輌(いずれもソ連時代に生産されたT-64、T-72等)とされているが、このうち少なくとも400輌以上を既に喪失している。また、主力であったT-64は、生産施設のあったハルキウがロシア軍の攻撃で大きな打撃を受け、予備部品の製造が困難になっている可能性が高く、保管されていたT-64も復帰が可能な個体はほとんど残っていない。キーウ、リヴィウ等の軍需工場ではT-72等の現役復帰と改修が進められているものの、ウクライナが自力で補充できる戦車の数は少ない。

カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
藤村純佳(ふじむらすみか) 軍事ライター。『月刊PANZER』『軍事研究』等の軍事専門誌にソ連・ロシアに関連した記事を寄稿。
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