イランでは2022年9月以来続く反体制¹抗議デモが長期化し、アリー・ハーメネイー最高指導者の健康不安説も伝えられている。対外関係に目を向けても、ロシアへのドローン供与疑惑を巡って欧米との軋轢が深まっており、核交渉も膠着状態にある。2023年2月14~16日のエビラーヒム・ライーシー大統領の中国公式訪問は、イランが中露との接近を図る「ルック・イースト」政策を推進していることを広く印象づけた。
イランを取り巻く状況が厳しさを増す状況下、2023年2月19日付「ブルームバーグ」は、イランがウラン濃縮を84%に引き上げた可能性を伝え² 、これに対し、現在イスラエルがイランの核兵器保有への警戒を高めている。アメリカのジョー・バイデン大統領は選挙公約でイラン核合意再建を掲げたが、ロシア・ウクライナ戦争への対応に追われる中、任期中に達成することはできるだろうか。
本稿では、イランの内外政の現在地を素描した後、革命防衛隊をめぐる諸問題に着目しつつ、核合意のゆくえを占いたい。
国内でのヒジャーブを巡る抗議デモの推移
2022年9月16日、女性の服装の取り締まりを担う風紀警察と呼ばれる組織によって拘束されていたクルド人女性のマフサー・アミーニーが、搬送先の病院で死亡した。当局は既往症によるものと説明したが、風紀警察による暴力的な「指導」が原因だと憤る国民らが抗議デモを開始し……
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