
3月1日、米国下院議会の外交委員会は動画共有サービス「TikTok」の一般利用を禁止する法案を可決した。この後、上下両院本会議で可決し、ジョー・バイデン大統領が署名を行えば、米国国内での「TikTok」の使用ができなくなる。
「TikTok」は、中国のバイトダンス(ByteDance)が開発・運営する人気の動画共有アプリで、2018年から本格的にサービスを開始。ダウンロード数は2021年1月時点で35億回を超え、2021年9月には、全世界で利用者数が10億人を超えたと発表されている。2023年1月時点で、米国でのユーザー数が、全世界最多の1億5000万人という巨大なアプリが禁止されようとしているのだ。
個人情報が筒抜けに
米国は、国民の個人データが「TikTok」を通じ中国へ漏洩することを警戒している。政府レベルでは、米国をはじめカナダやEU(欧州連合)ではすでに業務用端末での使用を禁じているし、私用のPCからも「TikTok」を削除することが強く求められていた。
個人情報の流出問題については、2020年7月23日、プロトンというスイスに本社をおくセキュリティ会社がブログで詳細に報じている。「TikTok」のアカウントを開設するには、電話番号またはメールアドレスと生年月日の入力が必要だ。アカウントを作成するとユーザーは、ソーシャルメディアアカウント(Twitter、Instagram、Facebookなど)、携帯電話の連絡先リスト、GPSデータへのアクセス許可が求められる。
ここまでの情報だけでも個人の特定には十分だが、……

「フォーサイト」は、月額800円のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。