「値上がり」だけでなく「配当のチカラ」にも注目を――シニア世代にETFを提案する理由

「高配当株式」や「配当株式」に関する書籍やマネー雑誌の特集をよく目にする。実際、「○○の株式を買えば配当利回りが7%」といった配当情報に興味を持つ投資家は多くいる。個人の資産運用において私が考える株式配当金のチカラをお伝えしたい。
まず、資産運用は目的を持って行うものだが、多くの個人投資家にとって運用目的は2つに大別される。
①資産拡大
②定期収入
①は中長期的に資産を拡大したいということだ。これまで何度か書いてきたが、「短期的に増やしたい」というのは失敗する人が続出するのでおすすめしない。それは「投資」ではなく「投機」である。一方、長期的に増やすには世界の株式に分散投資することが王道だ。世界株式は長期的な期待リターンが高く、資産拡大が期待できる。
ただ、価格変動が大きいため、時間分散(積立投資)が有効だ。資産拡大ニーズは現役世代に集中する。現役世代は毎月の給与等の一部を世界株式に積立で分散投資することで、しっかりとした成果を追求できる。
②は「毎年計画的に利益を受け取りたい」ということだ。つまり、①のような「10年後に増えていれば良い」という考えとは発想が違う。
定期収入を求めるなら、『2023年は「債券」投資を考えてみよう』で解説した債券投資で利金を得るか、あるいは株式投資で配当金を得るか、ETF(上場投資信託)に投資して分配金を得るかが一般的だ。定期収入ニーズはシニア世代や富裕層に集中する。例えばシニア世代で年金生活をしている人は、年金の補完のため手元資産を有効に運用して毎年利益を受け取りたいと考える人が多い。
現役世代:資産拡大
シニア世代:定期収入
とはいえ、現役世代もいつかはシニア世代になることを考えると、ほとんどの人の運用目的は「いつかは定期収入」になると言える。ということは、現役世代も、運用目的が定期収入になった際のことも見据えて資産拡大の運用を行う必要がある。
今回は、定期収入目的の運用の中でも、「株式の配当金」と「ETF」にフォーカスして考えたい。……

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