煽りません! プロ直筆、一生モノの資産運用「いまやっていいこと、悪いこと」 (7)

2023年は「債券」投資を考えてみよう

執筆者:福田猛 2023年1月5日
タグ: マネー
(C)Andrii Yalanskyi / stock.adobe.com
世界的な金利上昇の後、年央をピークに金利低下に転ずる可能性もある2023年。この投資環境でメリットが出てくるのは、これまであまりなじみがなかった「債券」への投資だ。

   2022年はウクライナ情勢インフレ、金利上昇等の要因から株安、債券安、円安となった。多くの投資家にとっては厳しい環境だったのではないだろうか。2021年と比べて市場環境は大きく変わった。こうしたトレンドの中で迎える2023年の投資戦略をどうすれば良いのか考えてみたい。株式の戦略については様々な媒体で紹介されているので、今回は個人投資家にあまりなじみがない債券投資について紹介したい。

金利上昇でチャンス到来

   なぜ、債券投資なのか。2021年までは世界的な超低金利下で、先進国の国債利回りはマイナス金利、またはほぼゼロに近い水準だった。これでは債券に投資をするメリットがない。

   しかし2022年に入り、世界的なインフレが一気に進んだ。アメリカはじめ、各国中央銀行がインフレを抑えるため、政策金利を急激に引き上げていった。アメリカの10年満期の国債利回りも、コロナ対策の超金融緩和で金利が低下した2020年央の0.6%を底にして、22年には一時的に4%を超えるまで上昇した。

   債券は購入したタイミングで満期までの利回りを固定できる。0.6%で利回りを固定してもメリットは少なかったが、「リスクフリー」と言われ通常は運用目的での保有対象になりにくいアメリカ国債(つまり、アメリカという国が潰れる可能性は極めて低いだろうと考えられる半面で、リスクプレミアム=利回りも低い)でも、利回りが4%を超えてくると債券投資を検討する投資家が一気に増える。

   これが企業が発行するドル建て社債になると、比較的格付が高い優良企業の債券(社債)でも、1年前とは比べものにならないくらい、軒並み高利回りになっている。

   債券は、個人投資家にとっては株式ほど馴染み深いものではない。だが、債券市場は株式市場よりも格段に大きな市場だ。前回と重なる部分もあるが、債券についてさらに具体的に説明していきたい。

そもそも債券とは?

 
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カテゴリ: 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
福田猛(ふくだたけし) ファイナンシャルスタンダード株式会社代表取締役。同志社大学卒業後、大手証券会社を経て、2012年ファイナンシャルスタンダード設立。著書に『この世でいちばん臆病な投資生活』(サンマーク出版)、『お金の不安から一生自由になれる 考えない投資生』(飛鳥新社)、『プロがこっそり教える資産運用のはじめかた』(毎日新聞出版)などがある。2020年、一般社団法人ファイナンシャル・アドバイザー協会理事就任。ファイナンシャルスタンダード公式サイト https://fstandard.co.jp/
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