
次世代半導体の国産化を目的に設立された新会社ラピダスが、5月22日、北海道千歳市内で初のプロジェクト説明会を開いた。会場は千歳市民文化センターで、5月11日に参加申し込みの受付が始まると、サテライト会場でのライブ配信視聴席(定員400名)も含め、先着1400名の定員があっという間に埋まったという。同社が千歳市内での工場建設を発表した今年2月28日以来、初の本格的な事業説明会とあって、地元の関心の高さがうかがえる。
小池社長の構想を国と自治体が全面バックアップ
説明会に出席したラピダスの小池淳義社長は、将来、千歳市を中心に石狩市から苫小牧市にまたがる半導体関連産業の一大集積地を創り出すという「北海道バレー構想」を掲げた。
ラピダスを後押しすべく、千歳市役所では4月1日付で次世代半導体拠点推進室が設立された。市議会は4月下旬に臨時議会を開催し、工場用地の水道管敷設経費など約24億円の補正予算を組んだ。道庁にも4月以降、次世代半導体戦略室(5月末現在で室長以下13名)が設置され、小池社長の構想を全面的にバックアップする。
日の丸半導体の復活を目指すラピダスの設立には、国も当初から深く関わっている。経済産業省はこれまでに、ラピダスに対し計3300億円の支援を決定した。同省は熊本県菊陽町におけるTSMC(台湾)のロジック半導体工場の建設に4760億円、三重県四日市市のキオクシア(日本)の3次元フラッシュメモリ工場の建設に929億円を支援したが、この2つのプロジェクトによる経済波及効果を最大9.2兆円と試算している。ラピダスには今後も国から兆単位での支援が見込まれるとも報道されており、夢は膨らむ一方だ。
千歳という「戦略的要衝」
国家的プロジェクトでもある次世代半導体製造の拠点に、なぜ千歳が選ばれたのか。

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