
国防省高官らに対する汚職捜査については、ショイグ色の一掃を狙った粛清の可能性が囁かれる[クレムリンで軍需産業の振興に関する会議に出席したショイグ安保会議書記](C)AFP=時事
ロシアの民間軍事会社「ワグネル」の創設者で、昨年8月に謎の航空機事故で死亡した故エフゲニー・プリゴジン氏の銅像除幕式が、誕生日に当たる6月1日、サンクトペテルブルクの墓地で行われ、ワグネルの兵士や市民らが献花した。
現地メディアによれば、支持者やワグネル部隊のイニシアチブで建立が決まり、工費は10万ドル。プリゴジン氏は愛国勢力やロシア軍兵士らの間で依然人気が高く、一部の右派ブロガーは今も同氏を称えており、一定の名誉回復を思わせる。
一方で、5期目に入ったウラジーミル・プーチン大統領は5月12日、プリゴジン氏が罵倒したセルゲイ・ショイグ国防相を解任し、安全保障会議書記に異動させた。国防省や軍では、ショイグ派と目される人脈の逮捕や更迭が相次ぎ、プリゴジン氏と親しかった人物の台頭がみられる。「プリゴジン復活」が権力構造の変化をもたらしかねない。
生前はベロウソフ国防相らと親交
英国にあるシンクタンク、「ドシエ・センター」(5月21日)は、アンドレイ・ベロウソフ新国防相がプリゴジン氏と生前親しく、よく会って意見を交換していたと報じた。
それによると、二人は会うと抱擁してファーストネームで呼び合った。プリゴジン氏が要望や提案を伝え、大統領補佐官、第一副首相を務めたベロウソフ氏がそれを文書にまとめ、大統領に報告していたという。

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