Weekly北朝鮮『労働新聞』 (81)

地方の病院建設重視を確認、一方で「平壌総合病院」に未だ完工の報道なし(2024年9月1日~9月7日)

執筆者:礒﨑敦仁 2024年9月9日
タグ: 金正恩 北朝鮮
エリア: アジア
8月31日に初めて開かれた「地方発展事業協議会」の会場は空調付きの仮説テントだった(『労働新聞』HPより)
金正恩国務委員長が「地方発展事業協議会」を指導し、地方における病院建設は「自らの最たる宿願事業」だと述べた。ただ、コロナ禍の初期に着工された平壌総合病院については、当初の目標時期から約4年が過ぎた今も完工の報はない。【『労働新聞』注目記事を毎週解読】
 

 9月2日付の第1面から第2面上段は、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が8月31日に「地方発展事業協議会」を指導したことについて報じた。同協議会の開催は初めてである。開催地への言及はないが、掲載写真を見ると、エアコンも複数台設置した大型仮設テントの中で開かれていることが分かり、第2面下段から第3面にかけては、同日行われた咸鏡(ハムギョン)南道咸州(ハムジュ)郡での現地指導について報じられたことから、同地もしくは移動中に開催したものと見られる。水害発生時に特別列車内で政治局非常拡大会議を開催したのと同様、現場重視の姿勢を示したものである。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
礒﨑敦仁(いそざきあつひと) 慶應義塾大学教授。専門は北朝鮮政治。1975年生まれ。慶應義塾大学商学部中退。韓国・ソウル大学大学院博士課程に留学。在中国日本国大使館専門調査員、外務省第三国際情報官室専門分析員、警察大学校専門講師、米国・ジョージワシントン大学客員研究員、ウッドロー・ウィルソンセンター客員研究員など歴任。著書に『北朝鮮と観光』(毎日新聞出版)、共著に『最新版北朝鮮入門』(東洋経済新報社)など。
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