「プレートの衝突」では説明できないエベレストの「急成長」を解明

2024年10月20日
カテゴリ: 医療・サイエンス
エリア: アジア
世界で最も高い山、標高8848メートルのエベレスト(上)と、標高6812メートルのアマ・ダブラム山(右下)[2007年4月22日](C)REUTERS/Desmond Boylan
標高8848メートルにそびえる世界で最も高い山、エベレストは今も成長している。地球の外側の層は巨大なプレートに分かれており、「プレートテクトニクス」と呼ばれる地質学的プロセスによって、時間とともにゆっくりと動いている。エベレストを含むヒマラヤ山脈全体は、約5000万年前にインド亜大陸がユーラシア大陸に衝突したことで誕生し、以来隆起し続けているが、実はこの理由だけではエベレストの成長スピードは説明できない。

[ロイター]9月30日に学術誌『ネイチャー・ジオサイエンス』に掲載された論文では、エベレストの急成長は近隣の2つの河川系が合流したことが急成長の原因だと発表された。研究チームは、約8万9000年前にコシ川とアルン川が合流したことで、エベレストが15~50メートル上昇したと推測している。年間約0.2~0.5ミリの隆起速度に相当する。

 これは「アイソスタティックリバウンド」と呼ばれる現象で、地表の重さが軽減されると地殻が上昇することを指す。地球の最も表面の層である地殻は、地球内部の熱くて半液体状の層であるマントルの上に浮かんでいる。

「アイソスタティックリバウンドは、浮かんでいる物体の重さが軽くなった時に、位置を調整するようなイメージだ。氷や浸食された岩のような重いものが地殻から取り除かれると、下の土地はゆっくりと上昇する。船の貨物が下ろされると、水面に浮き上がるのと同じだ」と、中国地質大学(北京)の地球科学者であり論文著者のJin-Gen Dai氏は述べた。

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