「石破・トランプ会談」は日本が延期、大統領就任式にも代理を送る「勉強ばかり」の不安な総理

執筆者:永田象山 2025年1月17日
エリア: アジア 北米
就任式への外相派遣は異例の対応であり対米外交への意気込みが窺えるものの、首脳同士の会談日程は未定だ[首相と会談後、記者団の質問に答える岩屋外相=2025年1月17日、首相官邸](C)時事
石破総理はトランプ大統領の就任式に岩屋外相を派遣する。自分は日米間の課題をしっかり勉強してからということだろうが、今月中旬で調整されていたトランプ会談を見送る判断が正しかったとは思えない。総理・外相・経産相が揃って孫正義氏に教えを請うのも、何とも奇妙な光景だ。人見知りの完璧主義者は、しばしば「勉強」に逃げ場を探す。森山幹事長が手練手管で操縦してくれる国会運営のような手法は、外交で通用するはずもない。

 週明け、日本時間の21日未明にアメリカのドナルド・トランプ次期大統領の就任式が行われる。

 就任演説でトランプは何を語るのか、世界が注目する中、日本政府も今後の日米関係を見据えて一つの布石を打った。岩屋毅外務大臣を就任式に派遣することを決めたのだ。これまで就任式には駐米大使が出席するのが通例だった。あえて外相を派遣する日本政府=石破茂総理の狙いはどこにあるのだろうか。

「(日米の)首脳会談に向けてしっかりと地ならしをしていきたい」

 岩屋は12日のNHKの報道番組に出演した際にこのように語り、2月にも予定される石破訪米の際のトランプ大統領との首脳会談の地ならしに努力する考えを表明した。“友達が少ない”と言われる石破だが、岩屋は先の自民党総裁選挙では石破の選対本部長を買って出た盟友といえる存在だ。その岩屋を敢えて派遣するわけだから、石破の首脳会談にかける意気込みも伝わってくる。

理由は「課題をできるだけ頭に詰め込みたい」から

 しかし筆者は石破の外交手法に違和感を抱いている。なぜなら、石破本人がもっと主体的に対トランプの首脳外交を展開する機会はこれまで幾度もあったはずだからだ。

 もともと石破は、通常国会が始まる前の今月中旬にアメリカを訪れ、大統領就任直前のトランプと会談する方向で調整を進めていた。しかし、その日程が延期されることになったのが去年の暮れのことだった。当初このニュースが報じられた時、政権基盤の弱い石破の足下を見て「トランプサイドが断って来たのだろうか」と憶測が飛び交ったが、日本側から延期を打診したというのが実態だった。

 就任前にいきなり会談してトランプ本人や周辺からどんな要求が上がってくるかわからないという、外務省を中心とした政府内の警戒感があったようだ。ただ、関係者に取材したところ、石破本人もこの時期の会談は乗り気でなかったということだった。

「石破さんには完璧主義的なところがある。だから首脳会談までに日米の課題をできるだけ頭に詰め込みたいという思いがあるようだ」(政界関係者)

 また政府としてもトランプシフトが進んでいない実情が窺える。

 去年夏ごろ、外務省関係者は、トランプ再選への準備として「周辺を固めていきたい」と語っていた。

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カテゴリ: 政治
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永田象山(ながたしょうざん) 政治ジャーナリスト
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