「今週のトランプ」ラウンドアップ (2)

トランプ大統領の発言とアクション(3月20日~26日):自動車関税でアクセル、25%発動へ

執筆者:安田佐和子 2025年3月28日
エリア: 北米
相互関税の標的「ダーティー15」は「15カ国」という意味ではない[2025年3月27日、アメリカ・カリフォルニア州アルハンブラの自動車販売店](C)AFP=時事
トランプ大統領と政権キーパーソンから飛び出した1週間分の発言を、ストリート・インサイツ代表取締役・安田佐和子氏がマーケットへの影響を中心に詳細解説。

 

トランプ政権が相互関税で標的とする「ダーティー15」、日本を含むのか

「さあ、やれよ、望むところだ(Go ahead, make my day)」――映画「ダーティ・ハリー」の名台詞でご記憶の方も多いだろう。トランプ政権が4月2日に発動する予定の相互関税について、こう言える国は多くないはずだ。

 トランプ氏は相互関税について、「柔軟性を持つ」と述べたかと思えば、例外の国について「それほど多くならない見通し」と発言するなど、相変わらず朝令暮改の状況。ただ、一つ明白なのは、相互関税の標的が「ダーティー15」と呼ばれる国・地域であることだ。

「ダーティー15」とは、スコット・ベッセント財務長官が3月18日のFOXビジネス・ネットワークのインタビューで挙げた言葉である。いわく、「最も関税が高く、非関税障壁を課し、貿易量が多い」15%の各国・地域を指すという。従って、単純に15カ国というわけではなさそうだ。 

 とはいえ、明確な基準が判明しないなかで、該当国・地域に日本が含まれるのかを探る上では、米国が問題視する①米貿易赤字、②関税率――の2つが尺度として考えられる。そこで、まず2024年の財の米貿易赤字を国・地域別でみると、2024年、財の対貿易赤字は世界全体で1.2兆ドル(国勢調査ベース)。1位は中国で2954億ドルと赤字額の24.6%を占め、EU(欧州連合)は19.6%、メキシコは14.3%、ベトナムは10.3%。日本は5.7%に過ぎない。

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カテゴリ: 政治 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
安田佐和子(やすださわこ) ストリート・インサイツ代表取締役、経済アナリスト 世界各国の中銀政策およびマクロ経済担当の為替ライターの経験を経て、2005年からニューヨークに拠点を移し、金融・経済の最前線、ウォール街で取材活動に従事するかたわら、自身のブログ「My Big Apple NY」で現地ならではの情報も配信。2015年に帰国、三井物産戦略研究所にて北米経済担当の研究員、双日総合研究所で米国政治経済や経済安全保障などの上級主任/研究員を経て、株式会社ストリート・インサイツを設立。その他、トレーダムにて為替アンバサダー、計量サステナビリティ学機構にて第三者委員会委員、日本貴金属マーケット協会のフェローを務める。
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