切り崩された「2位・3位連合」
「高市早苗新総裁誕生」
今月4日に投開票が行われた自民党総裁選挙は、政界関係者の多くが驚く結果となった。前日3日夜の段階では「議員票は小泉進次郎、党員票は高市」に集中し、決選投票にはこの2人が進むであろうということ、そして去年の石破茂総裁誕生と同じく議員票で優位を占める小泉農水大臣が接戦を制するであろうと見られていた。しかし、結果は違った。
「どうやら麻生は高市で決めたらしい。“党員票を一番獲得した候補”に投票するよう派閥のメンバーに指令するようだ」(政界関係者)
投票日当日、「麻生太郎党最高顧問が高市を支持」という話が飛び交った。この段階でも「麻生さん大丈夫か」「博打だな」などと冷ややかな見方が大勢だったのだが、結果的には麻生の“博打”が功を奏した。
茂木敏充元幹事長、小林鷹之元経済安全保障担当大臣の2陣営の票が決選投票で一気に高市に流れ込んだ。さらに1回目の投票で小泉に党員票で35票差をつけた高市の勢いに、日和見議員らが飲まれた側面も強い。
小泉陣営は1回目の投票で3位になった林芳正官房長官との「2位・3位連合」を画策した。1回目投票で小泉は議員票80票、林が72票獲得しており、両者の票を足せば152票になる。しかし決選投票で小泉が獲得した議員票は145票にとどまった。林陣営からかなりの票が高市に流れたと見られるのだ。
小泉陣営の関係者は「麻生さんにやられた」などと敗因を分析するが、彼ら自身の緩みを指摘する声もある。ある政界関係者は筆者にこんな話を打ち明けた。
「あいつら(小泉陣営)は投票日前日に総裁選後の人事の話とかしていたんだろ。勝ったと思った油断が全ての敗因だ」
実質的には「総理・総裁分離」体制
かくして総裁選も終わり、焦点は党役員と閣僚の人事に移ったが、すでにかなり強烈な“高市カラー”が醸し出されており、党内からは驚きの声も上がっている。
「こんなに麻生派で固めていいのか?」(自民党関係者)
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