現状の維持を前提に“乾いた雑巾”論を唱えても意味はない。今回の宣言を好機ととらえ、大胆に産業構造を組み替えるべきだ。 戦後、日本が世界に発信したメッセージで最もインパクトの大きかったのは、「戦争放棄」と「戦力の不保持」を表明した憲法第九条だろう。では、二番目は何か。 評価は分かれるが、鳩山首相が九月初めに表明した「地球温暖化ガス二五%削減」はその有力候補になるだろう。環境対応で世界をリードしているつもりの欧州連合(EU)ですら二〇二〇年までに一九九〇年比で二五%削減は驚異的な数字だったからだ。人類全体の利益のために自らが率先して高邁な理想と高い目標を掲げたという点では「二五%削減」は“環境の憲法第九条”といえるかもしれない。

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