受託収賄による中尾栄一元建設相の逮捕にまで至った汚職事件では、建設省OB、キャリア官僚の逮捕もありうる展開になってきた。建設省には飲食供与など過剰接待を受けたり、天下りの斡旋などに関係した職員は技官系を中心に約二十人ほどいるとされており、大物では次官経験者と技官系審議官の二人に注目が集まっている。加えて課長補佐級のキャリア官僚二人とノンキャリア三人の計七人の名前が挙がっている。
事件の発端は、許永中被告が贈賄側企業の若築建設に新井組(神戸市)との合併話を持ちかけ、合併を有利に進めるために新井組の株式買い取りを斡旋。若築建設は石油元売り業・石橋産業(東京・目黒区)の上場傘下企業で、石橋産業グループから買収資金約二百億円を騙し取った許被告は、仲介役として買い取った新井組株約百八十億円を市場で換金したとされる。

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