勝者なきオフィスビル戦争の幕開き

執筆者:安西巧 2003年1月号
タグ: 日本

丸の内、汐留、品川、六本木――。新たな摩天楼が次々誕生し、予想以上に厳しい「二〇〇三年問題」の現実が明らかになりつつある。不動産大手によるテナント争奪戦は激しさを増し、大会社の本社を引き抜き合う“恐怖の玉突き”も始まっている。「十六年かかったこの『六本木ヒルズ』が二〇〇三年四月二十五日にオープンすることを謹んで予告します」 十二月五日に開かれた記者発表会。作業の足場が組まれ、一部の天井は空調ダクトが剥き出し、外周全面ガラス張りのフロアで、挨拶した森ビル社長の森稔はやや上気した表情でこう宣言した。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
安西巧(あんざいたくみ) ジャーナリスト 1959年福岡県北九州市生まれ。1983年早稲田大学政治経済学部政治学科卒、日本経済新聞社入社。主に企業取材の第一線で記者活動。広島支局長、編集委員などを歴任し、2024年フリーに。フォーサイトでは「杜耕次」のペンネームでも執筆。著書に『経団連 落日の財界総本山』『広島はすごい』『マツダとカープ 松田ファミリーの100年史』(以上、新潮社)、『さらば国策産業 電力改革450日の迷走』『ソニー&松下 失われたDNA』『西武争奪 資産2兆円をめぐる攻防』『歴史に学ぶ プロ野球16球団拡大構想』(以上、日本経済新聞出版)など。
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