長い不況が続いているにもかかわらず、あるいは続いているからこそ、祭があちこちで盛り上がっている。正確な統計は存在しないが、おもな開催地に問い合わせてみると、ここ十年前後の観客動員数は右肩上がりの増勢を辿っているところが多い。 町おこしをしたいという商店街や自治体の意気込みもあろうが、それだけが原因ではないだろう。祭で高揚した気分が日常の厳しさを忘れさせてくれるのか、失われた人の和を祭が一時的にも蘇生させてくれる思いがするのか。現代人は祭という壮大なエネルギーの無駄遣いに嬉々としていそしむようになっている。

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