国際論壇レビュー
米新国防戦略がもたらすのは「抑止力」か「卑怯者の戦争」か
アジア太平洋に大きくシフトするアメリカの新国防戦略(1月発表)が、各国を巻き込み活発に動き出した。米軍普天間飛行場移設とパッケージだった沖縄の米海兵隊8000人のグアムなどへの移転を、切り離して進めることに日米が合意したのも、その一環だ。新国防戦略の歴史的意義は、台頭する中国を牽制するアジア・シフトだけではない。第2次大戦以来、アメリカは欧州、アジア、中東のうち2正面で大規模戦争に突入しても、ともに勝利をおさめることが可能なように戦力を維持してきた。だが、莫大な財政赤字を抱え、軍費削減でその「2正面勝利戦略」を、はじめて放棄した。欧州からは2個機甲旅団約1万人が撤退する。冷戦時は最大28万人近かった在欧米陸軍は3万人程度になるというのだから、そこだけ見れば大軍縮だ。 【U.S. Faces New Challenge of Fewer Troops in Europe, The New York Times, Jan.14】
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