国での天下り規制について、この部屋でも何度か触れてきた。
ここ数年、「天下り根絶」という掛け声はかかり、法改正もなされたが、天下りはなくならなかった。
なぜかというと、致命的だったのは、監視機関の立ち上げが放置されてきたことだ。
かつて安倍内閣のとき、国家公務員法改正により、あっせん規制、求職活動規制、退職後の口利き行為規制を導入された。監視のため、「再就職等監視委員会」を設けることも定められた。
2008年12月末に改正法は施行され、監視委員会も法律上は設置されたはずだった。
ところが、委員の人選が国会同意されず、実質的に未発足の状態が続いた。民主党政権になってからは、人事案の提示さえなされず、その間、天下りと思しき事例が続出した。例えば、東京電力の顧問に前・資源エネルギー庁長官が就任し、「あっせんの事実はないので、天下りではない」と称していたことなどが一例。
監視をしていなければ、どんな規制を作っても、ザルになるのは当然だ。
当部屋などで繰り返し問題指摘を続けたかいもあったのか、2011年になって、ようやく民主党政権も人事案提示に方針転換。今年3月に、同意人事が成立し、委員会の発足に至った。
遅すぎた発足ではあったが、5名の委員の方々には、徹底的な天下り根絶に取り組んでいただきたいと思う。
一方、公務員制度改革といえば、今や、最先端を行くのは、大阪だ。
大阪府では「職員基本条例」がこの3月に成立。
天下り規制では、国の監視委員会に相当する役割を担う、「人事監察委員会」も定められた(天下り監視以外に、懲戒処分・分限処分のチェックも担う)。
こちらは、条例成立後、あっという間に、委員会が立ち上げられた。
メンバーには、従来、国での天下り規制に関わってきた面々も加わっているなど、意気込みのほどは見てとれる。
・古賀茂明氏(元・国家公務員制度改革事務局審議官)
・屋山太郎氏(かつての「国家公務員制度の総合的改革懇談会」委員)
・長谷川幸洋氏(かつての「官民人材交流センター制度設計懇談会」委員)
以下では、国の「再就職等監視委員会」と、大阪府の「人事監察委員会(天下り規制関連)」のメンバーを、並べておく。
両チームで、「天下り根絶」競争が繰り広げられることを期待したい。
国「再就職等監視委員会」
・委員長:羽柴駿(弁護士)
・委員:伊東研祐(慶応大学法科大学院教授)
・委員:篠原文也(政治解説者・ジャーナリスト)
・委員:番敦子(弁護士)
・委員:笠京子(明治大学公共政策大学院教授)
大阪府「人事監察委員会」(退職管理部会)
・委員長:大仲清(公認会計士・税理士)
・委員:古賀茂明(元国家公務員制度改革事務局審議官)
・委員:土橋純二郎(社会保険労務士)
・委員:長谷川幸洋(東京新聞・中日新聞論説副主幹)
・委員:屋山太郎(政治評論家)
(原 英史)
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