国際人のための日本古代史 (33)

「差別される人々」はいつ生まれたのか

執筆者:関裕二 2012年12月26日
タグ: 日本

「差別」について、考えてみたい。

 差別される人々が、いつ、どこで、なぜ生まれたのか、はっきりしたことは分かっていない。ひとつ分かっているのは、中世の段階で私的隷属を嫌った人々が、天皇と深く結びついていたということ、そして、何者にも支配されず自由に暮らす彼らが、被差別民になっていったという事実である。

 

孝謙女帝の「奴隷解放」

 孝謙女帝が上皇時代に暮らしていた法華寺(筆者撮影)
孝謙女帝が上皇時代に暮らしていた法華寺(筆者撮影)

 各地を遍歴し漂泊する勧進、芸能民、遊女(うかれめ)、鋳物師(いもじ)、木地屋、薬売りなどの商人、工人、職人などの非農耕民は、「捕らえ所がなく、税の徴収が難しい」ことから、普通の農民(良民)たちとは区別されるようになっていった。

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カテゴリ: カルチャー
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執筆者プロフィール
関裕二(せきゆうじ) 1959年千葉県生れ。仏教美術に魅せられ日本古代史を研究。武蔵野学院大学日本総合研究所スペシャルアカデミックフェロー。著書に『藤原氏の正体』『蘇我氏の正体』『物部氏の正体』、『「死の国」熊野と巡礼の道 古代史謎解き紀行』『「始まりの国」淡路と「陰の王国」大阪 古代史謎解き紀行』『「大乱の都」京都争奪 古代史謎解き紀行』『神武天皇 vs. 卑弥呼 ヤマト建国を推理する』など多数。最新刊は『古代史の正体 縄文から平安まで』。
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