饗宴外交の舞台裏
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ローマ法王の葬儀で交わされた「握手」
「世界の首脳たちにとり、ひと時の外交デタント(緊張緩和)だった」と英タイムズ紙は書いた。ローマ法王ヨハネ・パウロ二世の葬儀のことである。 冷戦崩壊の陰の立役者であり、諸宗教の対話を主導し、死ぬ間際まで人権と平和の尊さを訴え続け、現代史に大きな足跡を残した同法王の葬儀には、世界の百を超える国が首脳レベルの代表を送り込んだ。 錚々たる顔ぶれの代表団を編成した国も少なくなかった。米国はブッシュ大統領、クリントン、ブッシュの前元大統領、ライス国務長官の四人。法王の祖国ポーランドはクワシニエフスキ大統領、元自主管理労組「連帯」議長で新生ポーランドのワレサ初代大統領ら四人。英国はチャールズ皇太子、ブレア首相ら四人。

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