饗宴外交の舞台裏 (102)

ルクセンブルク大使夫君の「君について行こう」

執筆者:西川恵 2006年7月号
タグ: フランス 日本
エリア: ヨーロッパ

 初夏の青空が広がった五月下旬の日曜日、東京都心にあるルクセンブルク大使公邸でピアノ・コンサートが開かれた。 ルクセンブルクのミッシェル・プランシェール・トマシーニ駐日大使(四五)は、東京に三人いる女性大使の一人。音楽に造詣が深く、世界に音楽家の友人が多い。大使は機会があるとそうした音楽家を公邸に招いてミニ・コンサートを開き、交際の場を作ってきた。 この日の演奏家は大使の知己である国立音大教授でピアニストの花岡千春氏。外交団や大使の友人、大使の三人の子供の同級生らを前に、花岡氏の専門であるフランス人作曲家のフランソワ・クプラン(十七―十八世紀)とアレクサンダー・タンスマン(十九―二十世紀)、さらにショパン、ベートーベンの曲を披露した。コンサート後、続きの広間に飲みものと食事が用意され、招待客はコンサートの余韻を楽しみながら、歓談のひとときを過ごしたのだった。

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執筆者プロフィール
西川恵(にしかわめぐみ) 毎日新聞客員編集委員。日本交通文化協会常任理事。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、専門編集委員を経て、2014年から客員編集委員。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。著書に『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)、『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、『ワインと外交』(新潮新書)、『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)、『知られざる皇室外交』(角川書店)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。
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