饗宴外交の舞台裏 (195)

日中韓が倣うべき「英・アイルランド」和解への道程

執筆者:西川恵 2014年8月15日
タグ: フランス 日本
エリア: ヨーロッパ アジア
 はるか向こうまで続く壮観な晩餐会の列 (C)AFP=時事
はるか向こうまで続く壮観な晩餐会の列 (C)AFP=時事

 今年4月、アイルランドのマイケル・ヒギンズ大統領(72)が英国を国賓待遇として 初訪問した。アイルランドが英国から独立して1世紀近く、やっと実現した訪問だった。些か旧聞に属するが、 両国の和解は歴史問題でギクシャクする日本と中韓にとっても参考になるはずであり、いま敢えて再考したい。

 ヒギンズ大統領は4月8日から11日までの4日間、英国に国賓として迎えられた。アイルランドが英国から独立したのは1922年。同大統領は英国を訪問する初めてのアイルランド大統領となったが、92年もの間訪英できなかったのは、近年までの英・アイルランド(愛)関係があった。

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執筆者プロフィール
西川恵(にしかわめぐみ) 毎日新聞客員編集委員。日本交通文化協会常任理事。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、専門編集委員を経て、2014年から客員編集委員。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。著書に『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)、『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、『ワインと外交』(新潮新書)、『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)、『知られざる皇室外交』(角川書店)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。
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