40兆円突破も「国民医療費」抑制の切り札とは

執筆者:磯山友幸 2014年10月22日
タグ: 日本
エリア: アジア
 どこの病院でも待合室は常に満席(C)時事
どこの病院でも待合室は常に満席(C)時事

 増え続ける医療費の伸びが止まらない。10月8日に厚生労働省が発表した2012年度の国民医療費は、39兆2117億円と前年度に比べて1.6%(6267億円)増え、6年連続で過去最高額を更新した。同省がすでに発表している「概算医療費」は2013年度も2.2%増えており、13年度の国民医療費は40兆円を突破した可能性が高い。増え続ける医療費は、国や地方の財政に重くのしかかっており、膨らむ財政赤字の大きな要因になっている。

 

焼け石に水

 国民医療費とは、患者本人が窓口負担する分と、保険で賄われる部分に大きく分けることができる。しばしば世界に誇るシステムだとして礼賛される「国民皆保険」制度である。窓口負担と保険ですべての医療費が賄われていれば、年々医療費が増えていたとしても問題は起こらない。だが、現実には、窓口負担と保険料では賄えず、国民健康保険の不足分を穴埋めする格好で国や地方が公費負担している。

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執筆者プロフィール
磯山友幸(いそやまともゆき) 1962年生れ。早稲田大学政治経済学部卒。87年日本経済新聞社に入社し、大阪証券部、東京証券部、「日経ビジネス」などで記者。その後、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、東京証券部次長、「日経ビジネス」副編集長、編集委員などを務める。現在はフリーの経済ジャーナリスト活動とともに、千葉商科大学教授も務める。著書に『2022年、「働き方」はこうなる』 (PHPビジネス新書)、『国際会計基準戦争 完結編』、『ブランド王国スイスの秘密』(以上、日経BP社)、共著に『株主の反乱』(日本経済新聞社)、『破天荒弁護士クボリ伝』(日経BP社)、編著書に『ビジネス弁護士大全』(日経BP社)、『「理」と「情」の狭間――大塚家具から考えるコーポレートガバナンス』(日経BP社)などがある。
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