経済の頭で考えたこと
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「ソ連崩壊から十八年」ロシアエリートがせめぎあう
ソ連邦の崩壊から十八年が経過した。世界的な資金凍結の影響をまともにかぶるロシアをモスクワで観察した限り、新旧の勢力が入り混じりながら、次のロシア社会に関する展望力を競う知的認識のせめぎあいが始まったように思われた。 一つの体制の崩壊とその後の社会の激変にもかかわらず、一人ひとりの社会の担い手にとっては生活の連続性がある。身に古い時代の刻印を帯びたまま、ひたすら新しい時代にもぐり込もうとする人間の行為があったとしても不思議ではない。 私は日本の敗戦から十八年目に大学生になった。戦後も、根っ子のところでそれ以前と濃密につながる社会基盤があり、他方でこれとまったく異なる民主化をめぐる言論空間があった。古い世代の一部は現実との接点の作り方に苦心惨憺だった。

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