国際人のための日本古代史 (7)

資源争奪戦の「肝」だった半島の「鉄」日本の「森林」

執筆者:関裕二 2010年4月号
タグ: 日本 中国

 国境を越えた資源争奪戦は、今に始まったわけではない。極論すれば、古代のヤマト建国も、「誰が鉄を手にするのか」、その争いだったのだ。 弥生時代後期、鉄鉱石の産地・朝鮮半島南部には、鉄を求めて各地から人が集まり、その中に倭人が混じっていたという。またこの後、大量の鉄が日本列島に向けて輸出されるようになるのだが、当初鉄を独占していたのは、北部九州だった。 ところが、三世紀後半から四世紀にかけてヤマトが建国されると、鉄は一気に東に向かって流れ出す。瀬戸内海勢力が、北部九州を圧倒し、鉄の流通ルートを確保したのだろう。

カテゴリ: カルチャー
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執筆者プロフィール
関裕二(せきゆうじ) 1959年千葉県生れ。仏教美術に魅せられ日本古代史を研究。武蔵野学院大学日本総合研究所スペシャルアカデミックフェロー。著書に『藤原氏の正体』『蘇我氏の正体』『物部氏の正体』、『「死の国」熊野と巡礼の道 古代史謎解き紀行』『「始まりの国」淡路と「陰の王国」大阪 古代史謎解き紀行』『「大乱の都」京都争奪 古代史謎解き紀行』『神武天皇 vs. 卑弥呼 ヤマト建国を推理する』など多数。最新刊は『古代史の正体 縄文から平安まで』。
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