ウォルト・ディズニー社の奥まった一室で、誰かが「真珠湾の六十周年だ。これ、いこ!」と叫んだのだろう。例のブロックバスターというやつで、映画「パール・ハーバー」は物凄い制作費をかけて作られ、まずアメリカで封切られた。観客の出足好調だという。日本にもまもなく来る。 現地・真珠湾では、停泊中の空母の飛行甲板に大スクリーンを設け、約二千人を招いて見せたそうだ。協力した米海軍の「民間人」へのサービス精神。真珠湾のすぐ外では、「民間人」(その実は政治家や米海軍に好意的な金満家)を喜ばせるため、原潜グリーンビルは海面をロクに調べもせず急速浮上した。九人の遺体が、まだ海底にあるのに、彼らは有色人種の悲劇をサラリと忘れてしまったようである。

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